〜???〜

ここは、どこであるか分からない場所

???「また、誰かが目覚めたらしいね」

???「『ゆめおいびと』か、『ゆめかり』か」

???「ゆめおいびとなんて珍しくもない。『ゆめかり』さ」

???「しかも、あの福助の子供らしい」

???「なるほど、だからみんな、こうして集まったわけか」

???「だが、油断はできない」

???「そうだな、ゆめかりであるか、ゆめおいびとであるかは、まだわからない」

???「……それを、これから見極めようと言うのさ」

その場所に集まった無数の人影は、新たに入ってきたその人物を見た

???「長……」

???「あの子には大きな定めがある。しかし、それは私らが望んでも、そのとおりになるとは限らない」

???「全ては、必然のなせる業、ですか」

「そうさ。だから、私達は見守るんだ、あの子の、選んでいく道をね」


第三話「choice」(前編)


〜朝・幸助の自室〜

どうする?
・起きてご飯
・もう少し寝る

幸助「ん〜〜…あと三分だけ〜〜……」

→・もう少し寝る

春奈「こぉら! 早く起きなさい!」

幸助「あう〜・・・もうちょっと〜〜」

がつん、と頭を殴られる

幸助「いでっ!」

春奈「ほら、これで目覚めたでしょ」

幸助「いてて……殴ることないじゃんよぉ!」

春奈「今日は母さん、仕事で急いで出なきゃいけないんだからって昨日あれほど言ったでしょ」

幸助「そうだけど〜・・・朝ごはんは?」

春奈「もう作ってあるわよ。晩御飯は、相羽さんにお願いしておいたから」

幸助「おっ、やった♪」

春奈「分かったら早くして! 母さんもご飯食べて後片付けしなくちゃいけないんだから」

幸助「はぁ〜い、だいじょぶ、食べんのは早いから・・・」

というわけで、あわただしく二人は戸締りをして、外に出て行く


〜通学路〜

慎哉「おーい、コースケー」

幸助「お〜っす♪」

慎哉「そういや、お前今日、うちで晩飯食うんだよなw」

幸助「うん、今から楽しみで腹が減る〜」

慎哉「今日はさー、焼肉にするって! 俺も楽しみだ」

幸助「うひょぉ!マジ!?」

慎哉「コースケが食いにくるって言ったら親父も張り切ってさw」

幸助「にゃはは、ゴチになりま〜す♪……あ、そういえば」

慎哉「なんだ?」

幸助「親父さん、この前のこと怒ってない?」

慎哉「ああ。別に。ただ俺がめちゃくちゃ叱られたけどな、あはは」

幸助「う〜、悪いなぁ」

慎哉「いいって。その代わり、今日の昼飯おごれw」

幸助「くっ!おまえはそういうとこでちゃっかりと!!」

と、楽しそうに話し合っている二人の前に、ふらりと人影が立ちふさがる

どこかの学生服を着た女子生徒、少なくとも同じ高校ではない

幸助「はにゃ……?」

???「あなた、こうすけ? かぐら、こうすけ?」

幸助「え、そうだけど……どちらさま?」

???「そう。聞いたとおりだわ、かぐらこうすけ」

幸助「ああ、オレってそんなに有名?やだなぁ、いくらアイドル系の顔立ちしてるからってそんなっ」

女生徒はすらりとした長身の猫族で、灰色の毛皮と冷めた緑の瞳をしている

???「とても大きい、しかし、もろいわ」

幸助「へ……?」

慎哉「(なぁ、この子、お前のなんなのさ?)」

幸助「(さぁ。ファン?)」

???「伝言を伝えるわ」

幸助「伝言?」

???「『運命は、必然で作られるもの。そして、全ての選択には対価がいる』」

幸助「え……」

???「『<まことのねがい>に心を傾けなさい』。これが全てよ」

幸助「対価……願い……?」

???「それと、私からも一つ言っておくわ。<ゆめおいびと>に気をつけなさい」

幸助「!」

そして、少女はくるっときびすを返していなくなってしまう

幸助「ちょっと待って、何か知ってるの!?」

少女の足は速い。追いかけてもどんどん距離が広がっていく

どうする?
・猛烈ダッシュ
・諦める

幸助「あぁもうっ……!」

→・猛烈ダッシュ


慎哉「ばか! 危ないっ!」

幸助「えっっ」

間一髪引き止められたところに、猛烈なスピードで車が幸助の目の前を横切っていく
すでに、信号が赤だったのだ

慎哉「何やってんだよ、おまえ!」

幸助「……あっ……だって、今の女の子……」

慎哉「は? 女の子? なに」寝ぼけてんだよ」

幸助「え?」

慎哉「お前、朝から女の子なんて、ずいぶんお盛んなんだなw」

幸助「シンヤだって見ただろ?猫族のキレイな感じの……」

慎哉「はぁ? だって、さっきから俺たち二人だけだったろ?」

幸助「そんな……」

慎哉「お前、大丈夫か? また虫とか暴れだしてんじゃないのか?」

幸助「虫と、同じようなこと言ってた……対価とか、願いがどうとか」

慎哉は幸助の額に手を当てて熱を計ろうとする

幸助「ばかっ!オレは元気だってば!」

慎哉「もう忘れろよ。あんなこと」

かなり真剣な顔で、慎哉は幸助の目をじっと見た

慎哉「もう、変なことには関わるなよ。な?」

幸助「わかったよ……」

そっと、不安げに自分の腹をさすってみた。

その姿を、どこか遠くで猫族の少女が見つめる

幸助「ん……?」

???「彼が、こうすけ……偉大なる<ゆめかり>福助の子、そして『受け継ぎしもの』」


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